Hot chocolate
ひとりぼっちは、子どものころからなれている。
友達と遊ぶのも、家の中か、お庭で楽しんでいた。
いつでも靴下をはいて、片手にマグカップを持って。
ソファーに、ちょこんと座って、元気な、みんなを見ている。
小さな縁側に腰をかけて、笑顔で、みんなを眺めている。
ひとりぼっちで、いる時間も大切なこと。
友達が帰ったあと、僕は僕だけの時間が待っている。
いつでも地球儀を回して、片手に虫眼鏡を持って。
チェアーに座って、いつまでも「少年探偵団」を読める。
クレヨンと色えんぴつで、「潜水艦」のお絵描きをする。
マグカップを持ちながら、夕暮れの景色を窓から見ている。
ワインレッドのカーディガンがお気に入りだった。
二十面相になりたいな。ネモ船長に会いたいな。
マグカップをテーブルの上に置いて、足の裏をさすっている。
窓ガラスに写る自分の仕草を見て、ちょっと、寂しい気分になった。
腕時計の秒針が、チッ、チッ、チッと聴こえてきた。
僕はテーブルの上のマグカップに手を伸ばしてみた。
わずかしか残ってなかったのに、温かい湯気がゆれている。
ママが注いでくれた、「ココア」の甘い香りが、僕を笑顔にしてくれた。
ちょっぴり、切ないけど、5歳頃のロマンチックな思い出話でした。
おしまい。
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