呼吸の行方
眠れない夜が続いている。脳が高揚しているのか
体の限界が来ているのか。心に余裕がないのか。
それでも、妙な気分になるのだから不思議なものだ。
深夜、散歩をしたくなる。とても空気が吸いたくなる。
夜風を感じたくなる。目を閉じて手首の脈拍を数える。
明け方、川に向かいたくなる。誰もいない河川敷。
首都高速を眺める。観覧車のシルエットを眺める。
そして、マスクをとって深呼吸をする。
何度も何度も、夜の空気を吸う。
眠れない夜が続いていても、脳がこんがらがっても。
ここで、こうして、魂をリセットする。
僕は、体が弱いし、体力もない。抵抗力もない。
毎日欠かさずに薬を飲んではいても、不安は隠せない。
明け方の空に、月が見える。始発の電車が動き出す前に
もう一度、空気を吸ってみる。ちょっと笑ってみる。
僕が僕に負けたら、すべてが終わると知っている。
知りたくないことは、知りたくもない。
見たくないものでも、他人任せにはしたくない。
呼吸が復活するためなら、僕は聖なる噓つきになる。
解決できることなら、時間をかけても解決したい。
空気を吸うこと。それが一番大切な薬なのだと思う。
きっと、明日は良いことがあると。馬鹿はバカなりに
命は金では買えないと思い込んでいる。
泣きそうな時こそ、喜劇役者のようにおどけながらね。
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