『 Welcome to Waiiha Picturesque』 Waiiha の公式サブブログにようこそ♪

Waiiha Picturesque は、2020年10月1日のAmebaブログ再開以降の補助的ブログです。

Amebaブログと連携させ、同一記事の投稿を行なっておりますが、10月1日以前の日記は

Amebaブログに掲載してありますので、お好みに合わせて、お楽しみ下さい♪

柳町で見つけた大切な人

確かこんなような、卒業論文を述べたことがある。

江戸幕府における宿駅制 ~千住宿を中心として~

テーマを千住宿に定めたのは、自分の生まれ育った

町だからと言う「安易な考え」だったが、そんなに

学問というものは、甘くはなかった。


想い出したくないほど、死ぬほど勉強をした…。

うなされながら、必死に底なしの沼に落ちている。

それでも、卒業後には、いいこともあった。


昭和三十三年『売春防止法』が、施行された年に、

彼は産まれた。卒論のテーマは江戸時代であったが

その後「千住の遊里」は、千住宿より離れた場所に

移転した。その場所が、幻のような「柳町」だった。


つかの間の刹那の遊郭は、整然としていたと聞く。

その柳町の、大門の中側で彼は、育った。

世の中の情勢が違えば、彼は廓の主であった。


その彼の名は、嘉伸。僕は、彼をお兄ちゃんと呼び、

お母さんを「お母さん」と呼んで、二人で営んでいた

知る人ぞ知る「鴨鍋」が有名な店に、通い続けていた。


目に見えぬ引力のように、僕は彼に惹かれていた。

音楽の話し、演劇の話し、映画の話し、廓の話し。

彼の店を出る頃には、朝焼けだったこともあった。


店の入り口には、少し大きめの信楽焼のたぬきがあった。

クラプトンの「チェンジ・ザ・ワールド」が似合う親子。

数年前の春先に、京都のギャラリーに、出品した作品

『櫻木五叉路 下ル』のモデルとなった場所が柳町。


四本煙突が見えていた愛おしき町。大切な想い出の町。

あの日から、心の整理はできてはいないけど。

そろそろ「お母さん」に、手紙でも書こう。

嘉伸さんの面影を探しに。

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