『 Welcome to Waiiha Picturesque』 Waiiha の公式サブブログにようこそ♪

Waiiha Picturesque は、2020年10月1日のAmebaブログ再開以降の補助的ブログです。

Amebaブログと連携させ、同一記事の投稿を行なっておりますが、10月1日以前の日記は

Amebaブログに掲載してありますので、お好みに合わせて、お楽しみ下さい♪

白球の行方

つむじ風の舞う 荒川土手のグラウンド

はじまりを待つ 河川敷のバックネット横には

スターティングメンバーもサブメンバーも

意外に真面目に揃っている。


審判は誰なのか きっと近所の誰かさんだろう。

試合相手のチーム名も 試合が終われば忘れている。

ジャーマネがスコア―ブックは付けているのだが 

当然、誰も関心はない。


打席に立つ バットを振る 白いボールは上空に向かう。

打球は勢いを落とさずに 川に打ち込まれた。

ホームランという訳だが ボールの回収は ほぼ不可能。


打席に立つ ライト前に 良い当たりをしても

ライト前ゴロ!でアウト!よくあることだという。

送りバントを失敗しても 相手の投手を褒めている。


汗と泥んこの ユニホームとスパイクシューズ

ほぼ日曜日 ほぼ朝一から 春夏秋冬

スターティングメンバーもサブメンバーも

全員、一生懸命に働いている。


土手の階段を上る 若き日の男たちの後ろ姿。

白球を追いかけ ベースを蹴って 覚悟を決めて野球をする。

夕焼けまでは 遠いけど 確実に行く場所がある。

監督の部屋に向かう そう、打ち上げは忘れない。


試合が本命なのか 打ち上げが本命なのかなんて

分からなくて良い 考えもしない どうでもよい。


窓の前のテレビをつける。だいたいゴルフを見ている。

誰が決めたのか分からないけど 自分の定位置にて座る。

夕焼けに染まるまで 出前の定食と缶ビールを飲む。

監督の部屋で昼寝をする。そういう日々があった。


そんな日々があった。みんな若くてギラギラしていた。

毎日、働きながら唯一の日曜日に集結するチーム名は

「ジャガース」なのか「ジャガーズ」なのか関係はない。

ただ、ひたすらに白球を追いかけていた。


窓から見える給水塔と隅田川と処理場のシルエット。

あの日とは、少し様変わりした監督の部屋に

みんな、それぞれの現場から駆けつけてくれた。

みんな、監督に会うためだけに駆けつけてくれた。


僕は、誇りに思う。頼りがいのある兄貴たちに

こんなにも、慕われていることを。

僕には真似できない。尖った兄貴たちを纏めること。

なんとなく、監督の輝いていた時代を共にした場面は

永遠に、僕の宝だ。いいえ。みんなの宝物なのだ。


監督!一度だけでもいいから「お父さん」と笑いながら

キャッチボールを朝から晩まで、してみたかったけど。

しまってあった野球用具一式も見つからなくても。

濃密で濃厚な「男二人だけ」の会話は内緒にするからね。


つむじ風の舞う 荒川河川敷のピッチャーマウンドにて

バックネットに向かって渾身の一球を投げてみる。

誰もいないホームベース。誰もいないベンチのはずなのに。

夕焼けの空の上空から「いい球だ!」と、聞こえてきそうだ。

Waiiha Picturesque

Hawaiian Livehouse Waiiha サブBlog(試験運転中)