二人で渡る 夜の橋
急ぎ足で、最終バスに間に合わなくても。
遠回りの電車に乗っての帰り方もあるけど。
置き去りの想い出を確かめるように帰ろうか。
忘れていた風。涼し風。久しぶりの夜風と町。
地下鉄に乗って、一駅で降りて、階段をのぼる。
見渡すと、町の息吹が、僕たちを迎えてくれた。
「町屋駅前」のホームに立って、闇とネオンが
点在する交差点付近と、京成ガードを見ている。
何年ぶりだろう?変わることない、この景色。
不思議に気分が良いのは、この夜風のおかげなのか。
暑い夏に終わりを告げるような、気持ちの良い夜。
最終の都電に乗って、いつもの電停で降りる。
二人でこの道を歩くのは、本当に何年ぶりだろう?
大好きな「小台橋」を渡るころには日付が変わっていた。
この橋のフォルムもこの橋から見る隅田川の夜景も
切ないくらいに美しい。
最終バスで帰るのは楽だけど、遠回りして帰るこの帰り道も
わりと好きなんだよな。
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